森彪先生

森 彪 先生

学科 児童学科(保健センター長 兼務)

主な担当科目 児童学の保健学的基礎

勤務期間 1994年~2006年

Episode

私が初めて聖徳大学で森先生にお会いしたのは1998年3月頃だったと思います。私は背丈が小さく、森先生はがっしりされた体格の上、お声も大きく笑い声は廊下にも響くほど豪快な印象を受け、少し驚いたことを思い出します。その後、私の勤務が始まり、森先生とお話しする機会が増えました。森先生は学園内の教職員とのおしゃべりを大切になさり、多くの研究室や事務室などへ自ら尋ね来られていました。

ある日、森先生が私の研究室に来られ、小児科医として長く診てこられた、あるダウン症の女性について我が事のように「凄いんだよ。こんなに可愛い絵が描けるんだよ」と言って、1枚のプリントされたポスターを頂いたことがあります。その女性について話されている時は、その女性を育てられたお母様についても「お母さんも凄いんだよ…」と、母子ともにその素晴らしさについて語られました。その時の森先生は好々爺といった印象を受けたことを思い出します。

また、森先生は小児科医として専門家の立場から、教科書をはじめ多くの著書を残されています。その一つに、“さんぼくたけし”の名前で「かあさんの手はおいしゃさん」の本があります。その中の一文をご紹介します。

  かあさん ぼく おつむが あついの  かあさん ぼく おなかが いたいの
  かあさんが さすってくれる  かあさんの手って 不思議だなあ
  冷たかったり 温かかったり  いつも 病気をなおして くれる
  お母さんの手って お医者さんだ

母と子を見つめる森先生の優しいまなざしは、聖徳学園の園児・生徒・学生・保護者及び教職員にも向けられていました。多くの方々を見守り、支援するためには、保健センターメンバーが一つになることの大切さを実践されていたように思います。 

そのエピソードの一つとしてワイン好きの先生は、毎年ボジョレーヌーボーの季節になると声を掛けていただき、当時私たちはONE’D’KANと呼んでいたところに集まり、楽しい時間を共有し、保健センター関係者間にも温かなつながりを作っていただきました。森先生は聖徳学園の「名物先生」と言えるのではないでしょうか。

森先生は2016年86歳でご逝去されました。

( 保健センター 教授 鈴木 悦子)