梅田 禮子 先生
学科 生活文化学科
主な担当科目 介護概論、実習指導
勤務期間 1988年~1993年
- Episode
聖徳の介護福祉士教育の基礎を創られた梅田禮子先生
介護福祉士の教育は、昭和63(1988)年4月に全国で25校が認可・開始されました。聖徳短期大学は、そのうちの2校の家政学科食物栄養専攻生活福祉コース2年課程と、保育科生活福祉専攻1年課程が認可され、それぞれ44名、8名の計52名の学生で教育がスタートしました。
日本で初めての福祉の国家資格の教育は、テキストなどなく、科目と教育すべき項目が羅列されたプリントを元に、それぞれの養成校の知恵と努力で始められました。介護福祉士の有資格者が存在しないため、教育を担当したのは看護教育経験者の看護師で、聖徳でも5名の看護師が2つの課程で介護に関する科目を教育していきました。
5名の教員は、看護のプロではあっても、介護福祉士教育の実態や専門性については明確に理解していたとは言い難いのが実際でした。そこでリーダーシップを発揮したのが、国立病院の総看護部長などの経歴をもつ梅田禮子先生でした。看護業界のネットワークを活用し、全国から情報を集めるとともに、実習施設に学生と共に出向き、介護福祉の実態の把握に努めました。特にカリキュラムに入っていない、介護福祉士の専門性の核であり介護行為の根拠の明確化(なぜこの行為をするのか)の「介護過程」の教育と、訪問介護実習の実践は、他校に先駆けて初年度から実践したものです。その結果、全国で初めての介護福祉士教育を受けた卒業生達は、自信と誇りを持って介護の現場に出ることが出来たと言います。
梅田先生が一回生に送った手紙(原文のまま)には、「最後の審判(信仰を持たぬ私ですが、あえて書きます)人生で何かひとつでもよい事をしたか と問われたら、ためらいなく、介護福祉士教育を私なりに一生けん命取り組んだと。20才そこそこのあなた達学生が必ず専門職業人として、続けてくれる時が来ると信じていましたと。答えると思います。」と書いています。
一回生が卒業して、2025年で36年になります。ほとんどの卒業生が介護現場で専門職として働き続けています。理論と誇りを持って介護福祉士という国家資格を活かしながら。
(社会福祉学科 教授 小櫃 芳江)