長田 由紀子 先生
学科 心理学科
主な担当科目 老年心理学
勤務期間 1991年~2024年
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1991年に聖徳大学短期大学部に着任された長田由紀子先生は、高齢者心理学を専門とし、教育と研究の両面で本学に多大な貢献をされた名物教授のおひとりです。
在職中は、老年期心理学、心理学概論、臨床心理学特論、老年心理学概論などの講義をご担当されていました。親しみやすくわかりやすい講義でよく知られていました。先生のゼミでは「生老病死」をテーマに、人が普段あまり意識しない「死」について真正面から考える時間が設けられていました。そこから学生たちは自らの「生きる意味」について深く考えるよう導かれ、「心の奥に残る学びだった」と多くの卒業生が語っています。中でも卒業研究には長田先生の熱意が注がれていました。「卒業研究に主体的に取り組むことは大きな感動を生み、あなた自身の成長につながります」――先生が学生に伝えたこの言葉には、学ぶことと生きることを結びつけたいという願いが込められていたのでしょう。
また、地域の中・高齢者を対象としたアサーティブネストレーニング(自己主張トレーニング)にも力を入れておられました。先生は高齢者の心理的な特性に細やかに配慮し、心地よく参加できるプログラムを設計。高齢者の方々の表情が明るく変わっていく様子が印象的でした。
長田先生の人柄を語るとき、まず思い出されるのはその温かく包み込むような笑顔と、愛猫家の一面です。猫のブローチなどさりげない猫モチーフの小物たちが学生たちとの心の距離を縮めていたのかもしれません。悩みを抱える学生が研究室を訪れることも多く、先生はじっと耳を傾けて温かい言葉をかけてくれました。
意外な一面として、縦走登山の経験もある登山好きであり、ヤマヒルに関する知識を披露してくださったこともありました。柔らかさと逞しさを併せ持つ、まさに「自然体の教育者」だったのです。
長田先生の言葉とまなざしは、今も多くの卒業生の心の中に生きています。時代が変わっても、「名物先生」としての記憶は、変わらず語り継がれていくことでしょう。
(心理学科 准教授 関口 由香)