桐生 敬子 先生
学科 保育科
主な担当科目 専門体育
勤務期間 1968年~2005年
- Episode
聖徳短期大学開学当初より保育科の専門体育の教員として勤務され。幼児の身体表現指導の基盤を作られた偉大な先生です。お茶の水女子大を卒業後東京大学の女性初の体育助手として奉職され、その後は聖徳短期大学、聖徳大学児童学科のため研究、授業及び学生指導に貢献されました。昭和50年頃から学生数が増大し保育科は1クラス53名の16クラスが通常でした。そのため2年生の授業は4クラス合同授業が4コマありました。体育館いっぱいの授業は活気に満ちたものでした。先生のリズミカルな太鼓に合わせて200人が一斉に動きました。指導力は抜群で、保育表現研究発表会の創作指導においても作品に対し「素晴らしい!」「いまいち!」と感情そのままに指摘されていましたが、学生達はその言葉を正面から受け止めて問題点を改善し、1限前の0限、昼休み、放課後と真剣に練習を重ね完成度を高めていきました。本年度短大58回を迎えた保育表現研究発表会は、桐生先生のご尽力により確立され、聖徳の伝統ある教育的意義の大きい行事としてとして位置づけられています。教材研究としては、子どもの体操作品も多く創案され「スキャット体操」「海の体操」「お池の体操」「手拍子体操」等全身を意識した多様な動きで構成されており、リズミカルで、ダイナミックな体操は、令和の現在も指導教材として色あせることもなく受け継がれています。子どもの身体表現の著書も多く、「幼児のリズム表現あそび」「身体表現・創作シリーズ」「わらべうた」等、自由で子どもの心に寄り添った作品が中心で、最終的には学生の自由な発想により幼児の表現指導ができるように構成されています。当時助手であった私も先生からは、子どもの豊かな身体表現教育の基本を一からご指導を受けることができ、貴重な学びを得ることができました。
先生は何事も本物志向で、おしゃれもピカ一でした。スーツはオーダーメードで花柄の模様が多く赤系の色がないと落ち着かないとおっしゃっていました。授業時の服装も美しい色のTシャツにスカーフを結んで颯爽としていらっしゃいました。品位ある女子大の教員の姿勢を貫いていらっしゃいました。華やかで、表現教育にご尽力された偉大な先生に巡り合えたこと心より感謝申し上げます。
2023年9月、多臓器不全のため94歳でご逝去されました。先生のご功績は今後も体育研究室の知的財産として受け継がれています。(児童学科 教授 安広 美智子)